富士フィルムの戦略
ちょっと古い話になりますが、カメラがまだデジタルカメラではなくフィルムカメラの時代。写真フィルムにおいて、富士フィルムは圧倒的なシェアを占めていました。
それなのに、ビデオテープやオーディオテープでは苦戦していました。
まぁ、ビデオテープについては、当初、業務用テープで圧倒的なシェアを誇っていたんですが、ビデオテープ市場が業務用から家庭用へと市場が拡大するにつれて市場シェアを失っていきます。
なぜでしょう?
当時の富士フィルムはフィルムと言えば、「富士」である!と富士のブランドを前面に押し出した戦略をとっていたんです。
緑の箱のイメージです。まぁ、今でも写真用紙とかチェキ用のフィルムなんかは緑ですね。
富士フィルムといえば、当時も企業イメージとしては高い評価を得ていましたので、富士フィルムの製品として売り出せば売れるはず・・・。しかし、現実はビデオテープやオーディオテープは売れない。
富士フィルムは、悩みに悩んだはずです。
結論としては、企業のコーポレイトブランドが及ぼす範囲には限界があるということです。
富士フィルムのコーポレイトブランドは、基本的に写真フィルムという商品領域をベースとしたものであり、オーディオテープは、オーディオ機器を生産しているソニーやパイオニア、オーディオテープ専門であったTDKがオーディオテープに重なるコーポレイトブランドの方が強かったというわけです。
そこで、富士フィルムは諦めたのか?いいえ、潔く富士のブランドを捨てます。そして、中学生をターゲットとして「アクシア」というブランドを立ち上げました。
その後の富士フィルムは、富士フィルム=写真フィルムというイメージを払拭し、カテゴリーを越えたブランドにするという課題を背負い、時代の流れと共にカメラや印刷用紙なども手掛け、最近では化粧品などにも富士フィルムの名で参入しております。