マクドナルドの低価格戦略は、なぜ失敗したのか?
日本マクドナルドの低価格戦略は1994年に実施された「バリューセット」の導入から始まりました。
ハンバーガーとポテト、ドリンクをセットにして安く販売するもので価格は400円前後。これにより、マクドナルドの客数は2.6%増えます。しかし、客単価は4.2%の減。
まぁ、通常なら価格を下げれば客単価は減るものですね。それを打ち消すだけの売り上げ増が見込めなければ有効な戦略とはいえません。
マクドナルドの場合は、新規出店により、これをカバーしました。137店舗の新規出店により1.5%の全体としての売り上げ増となります。
次に行われたのが1994年の9月と12月に行った「100円バーガー」です。期間限定ですが、当時210円のハンバーガーを半額以下にします。この結果、2750万個ものハンバーガーが販売され、期間中の利益は他の商品も含め5倍にも達しました。
ハンバーガーの販売個数が増えれば、1個当たりのコストが下がります。固定費が圧縮されるとともに、大量仕入れによって食材の価格などの変動費においても他社よりも有利になります。
この成功により、マクドナルドは1995年4月にはハンバーガーが210円から130円。チーズバーガーが240円から160円。同年7月にはてりやきバーガーが280円から190円。フィレオフィッシュも280円から240円へと引き下げられました。
2000年2月には平日のハンバーガーがなんと65円。チーズバーガーが80円という極端な低価格戦略を強めていきます。
ですが、これは円高の影響もあってのこと。2001年頃から円高、極端な値下げによる客単価の低下を背景として業績は悪化していきます。
現在では、新商品の開発などによる低価格戦略からの脱却と共に一方で「100円マック」といった低価格ながら売り上げの見込める商品を充実させるなど低価格と中価格帯との両立といったバランスのとれた戦略をとっています。
また、コーヒーにも力らを入れハンバーガーの枠を超えて、広い視野での市場拡大を目指す動きも見せています。