使えない部下なんていない!
経営の神様といわれる松下幸之助さんのお話です。
松下電器には、気に入らないと平気で部下を殴るような荒くれ者の人物が経営陣に参画していたそうです。
今なら即刻クビですね。
なにしろ、労働組合との団体交渉で労働組合の委員長が気に入らないとぶん殴っちゃうらいしいですからね。
当時でもさすがに問題だったようで「あんなのむちゃくちゃだ!あいつの下で働きたくない」と松下幸之助のもとにも話が入ってくるほどだったといいます。
しかし、松下幸之助は「聖人君子では経営者なんて務まらん。そんな人材でもちゃんと使いどころはあるはずだ」と諭したそうです。
すぐに相手をぶん殴っちゃうような人の使い道がどこにあるのか?
1952年に松下電器はフィリップスと技術提携をします。髭剃りとかで有名な会社ですね。フィリップス。
当時は、松下電器よりもフィリップスの方が全然大きな会社です。しかも、フィリップスはオランダの大手電機メーカー。第二次世界大戦後の話ですからオランダは戦勝国。完全に松下電器を見下していたそうです。
フィリップスの会社から松下電器には、技術指導のためにエンジニアが派遣されていたそうですが、朝まともに出社すらしない・・・。
そこで、怒り狂ったのが例の「すぐに殴っちゃう人」だったんです。彼は、フィリップスのエンジニアが泊っている宿まで行ってエンジニアをぶん殴って連れて来たといいます。それ以来、エンジニアはちゃんと出社し技術指導もしっかりするようになったそうです。
ちなみに、その人は後に松下電器とフィリップスの合弁会社である松下電子工業の社長になったそうです。まぁ、ただ暴れているだけではない人だったんでしょうけどね。人をぶん殴っちゃうという社会人としてというより人としてどうなの?って人でも松下幸之助はちゃんと「使い道がある」と考えたわけです。
私の友人で電気屋さんに努めている人物からも同じような話を聞いたことがあります。
売り上げは一般社員の3分の1しか売らない。いつもテレビコーナーでテレビを見ていて動かないという社員がいたそうです。かといって簡単にクビってわけにもいかない。あの手この手でやる気を出してもらおうと画策するも全然ダメ・・・。
しかし、ある時、彼は交通事故にあってしまい1週間程度休んだ後、左手と左足にギブスをはめたまま出社してきたそうです。
そんな状態で会社に来られてもやれる仕事は限られているのでとりあえず「ゆっくりでいいから商品の品出しだけお願い」と伝えたそうです。
それまでは、テレビを見ているだけだった社員が品出しという仕事を与えたら意外としっかりやる・・・。
「あれ、こういう仕事が向いてるのかな?
なんて思っていたら、商品の品出しってケーブルとかパソコン用品とかいろいろあるのでテレビコーナーはもちろんパソコンやデジカメのコーナーまでいって品出しするわけです。すると、お客さんから声を掛けられるんですね。
今まではテレビだけ売って一般的な社員の3分の1しか売らなかった人がパソコンやデジカメもお客さんから声がかかるので売る!すると、他の社員よりも売り上げがよくなってまったそうです。品出しもするし売り上げもいい!元気なころより怪我してギブスはめたら優秀な社員に変わったと笑いながら喜んでいました。
使えない部下と思っているのは、もしかすると上司がその社員の特性を生かし切れていないだけかもしれませんね。